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本連携プロジェクトについて

 本プロジェクトは、茨城大学と日立市かみね動物園における研究及び教育活動に関する学術連携を目的として、2015年からスタートいたしました。動物園は、従来地域の実践的環境教育の拠点として、域外保全研究や市民の学びに関する様々な活動に携わってきています。しかし、実際はそれらを達成するための専用研究施設を持つ園館は少なく、また限られた時間やスタッフの中で通常業務に加えて、研究活動や教育活動を行う余裕がなかなかない状況にあります。一方で、大学も我々を取り巻く環境の様々な問題に対して、多様な観点からの研究に対する要望が大きくなっていることや それらの問題や成果を人々に伝え、一緒に議論する手法に関するノウハウがあるものの、その実践フィールドが限られているという現状にありました。そこで、このような大学と動物園同士、お互いのウィークポイントを補い、強みを生かすことができれば、共同で新たな学術的取り組みができるのではないかと思い、始めたのが本プロジェクトになります。

 中川(1975)によって提唱された、「ヒトと動物の調和を目指す総合科学としての『動物園学』」が、一つの学問分野として見直され始めているように、近年動物園を対象にした、様々な角度からの研究や教育展開の必要性が指摘されています。このような観点から、従来個々の教員が持っていたネットワークを集結させ、動物園との全学的な連携体制を構築することから、従来の動物研究だけでなく、展示手法や動物園を使った実践教育など、動物園及び大学学びの機能を向上させる様々な角度からの包括的なアプローチが可能となればと考えています。また、地方大学と地元動物園の協働による連携体制の構築は、大学として常に求められている分野横断型研究や研究成果還元についての社会的要請に沿うものであると同時に、動物園を保有する地域の振興にもつながる可能性が考えられることから、地域の学術ならびに文化拠点として、これからの地方大学とその地元の動物園との一つの連携モデルとなれるのではと考えています。

 本プロジェクトでは、コンパクトな地方総合大学としての強みを生かし、様々な学部の教員に参画いただいております。流動的な組織ではありますが、動物園の4つの目的とされる「教育・環境教育」、「調査・研究」、「種の保存・自然保護」、「レクリエーション」に沿った形で、個々の得意分野を生かし、学生教育、飼育管理研究、遺伝資源評価、展示手法やイベント支援など様々な取り組みを実施しています。このように、多くの分野を抱える総合大学と野生動物の安定した飼育実績のある動物園の強みを活かして、展示動物研究および教育の実践的専門組織として大学が動物園を機能的にバックアップすると同時に、動物園にも大学教育に参画いただき、研究・教育力の向上が図れればと考えています。

                      (文責 連携世話人 小針)

 

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