専属の研究施設のない国内の動物園において「かかりつけの研究機関」として,地域の大学がサポートしていく協働研究教育体制の構築を目指す
本学と日立市かみね動物園における研究及び教育活動に関する学術連携を2015年からスタートして早5年,ミッションであった地方大学と地域の動物園の協働による連携活動として,動物の飼育管理に関わる研究だけでなく、展示手法や動物園を使った実践的教育など,動物園及び大学双方の学びの機能を向上させる様々な取り組みを多くの方々のご協力のもと展開してくることができました。試行錯誤の取り組みではありましたが,今後の大学と動物園における連携の1つのスタイルとしてアピールできたのではないでしょうか。
さて,国内の他の地域に目を向けても,近年少しづつ動物園での「研究」というものが注目されつつあり,動物園への研究員ポストの新設なども行われるようになってきています。一方で,自前の研究施設を持っている国内の動物園は,大都市の巨大動物園以外ほとんどなく,外部機関との連携というのは今後も不可欠でしょう。そこで次に我々が目指すのは,国内の動物園における「かかりつけの研究機関」として地域拠点となる各地方の大学がバックアップしていく連携スタイルの展開です。今回あらたに千葉市動物公園にも本連携に加わっていただき,本地域における動物園学(Zoo Science)の研究拠点を目指して活動していきます。
多くの分野を抱える総合大学と野生動物の安定した飼育実績のある動物園の組み合わせは,地方にも沢山あります。様々な地域で動物園と大学との連携体制が確立されていくことにより,それぞれの大学と動物園が各地域の学術ならびに文化拠点として,あらためて位置づけられていくとともに,国内外との学術交流も活発になっていけるのではと考えています。
なにより,困ったときにお互いにちょっと相談できる,そんな関係を作って行くことで,日本の動物園と大学における新たな研究スタイルの一つになれればと考えています。
(文責 連携世話人 小針)