研究の実施からだいぶ時間がたってしまいましたが,連携プロジェクト基盤園の日立市かみね動物園と協力園の大牟田市動物園,豊橋総合動植物公園との共同研究として実施しておりましたライオンの血中タウリン濃度の評価に関する研究が,この度,Springer社の書籍,Taurine 12(https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-030-93337-1?page=2#toc)に掲載,発行されました。
タウリンは魚介類に多い物質ですが,動物園でライオンに与えられることはまずありません。ネズミも多いらしいですが,飼育下では自分で捕って食べる機会もないですね。このタウリンの欠乏は,ネコでは失明や心筋症と関係することが古くから知られおりましたが,ライオンなど大型ネコ科での報告は,これまでほとんどありませんでした。
ちょうど採血のトレーニングが成功したライオンの血液を使って何か健康評価研究できないかという飼育員さんからの提案もあったため,それならタウリンについて調べてみようということで始まった研究でしたが,最終的には多くの動物園にご協力いただき,飼育下での大型ネコ科におけるタウリン動態について示すことができた貴重な知見として取りまとめることが出来ました。
本研究は飼育員さんとの何気ない対話の中から生まれた課題でしたが,成果としてまとまってみると,あらためてこの「何気ない対話」の重要性を感じるとともに,そのためにもデスクに座ってばかりではなく,早く動物園に顔を出したいなぁと思う今日この頃なのでした。
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