先週の土曜日に市民ZOOネットワークによる,エンリッチメント大賞2024の表彰式が東京大学弥生講堂にて開催されました。
近年,動物園におけるエンリッチメントの取り組みの浸透してきたこともあり,選考が難しくなっているとのことで,今年も大賞はなしでしたが,その中で本学と日立市かみね動物園,千葉市動物園との3機関連携プロジェクトが「動物園学研究拠点:地域の大学との協働活動を軸とした連携の取り組み」として,「正田賞」を受賞いたしました。
本賞は,「エンリッチメント大賞に応募された取り組みの中から、市民に対して動物福祉を伝えるという点で高く評価されるものや、市民との連携という点で優れていると評価されるもの」で,長年市民に開かれた動物園活動に尽力され,同ネットワークにおいてエンリッチメント大賞の審査員を務められていた正田陽一先生のお名前にちなんで2022年に創設されたものです。
従来,動物園と大学の様々な連携事例がある中で,特に地域の大学が動物園の研究や教育機能を補完する形で継続的かつ組織的に協働活動を実施してきたことや,動物園の活動をさらに開かれたものとするためにZoo Science Journalを創刊したことなどを評価いただきました。これらは,長年動物園を見守られてきた正田先生が理想とされた「動物たちのため、動物園と大学が対等な関係を築いて協働する」という形に沿うものであるとのうれしいコメントもいただきました。ちなみに,正田先生は本学農学部でも教鞭をとられていた時期もあり,何かご縁を感じる表彰でした。
我々としては,学生や動物園スタッフの「やりたい気持ち」を一つ一つなるべく取りこぼさないように,どう具現化するかというつもりで,頭をひねりながら取り組んできたことですが(失敗も多々ありましたし,全てに応えられたわけではありませんが・・),それらが結果として大学と動物園の機能を高める活動になったのかなと感じています。継続は力なりですかね。
ただ,おそらく同じような「気持ち」を持った動物園は全国にもたくさんあると思いますし,動物園との協働活動に興味を持っている教育機関や研究機関などもあると思います。つまり我々の取り組みが評価いただけたのは,我々だからできた取り組みということではなく,どこでも可能な動物園と外部機関との連携における一つのモデルを提示したという点かと思っています。どういう形で手を携えられるのかというのは,規模や分野などそれぞれの地域や組織で異なると思いますが,このような仕組みが様々な地域でも根付いていけばと思っています。 写真提供:NPO法人 市民ZOOネットワーク
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