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kohari

UFAW2018 Animal Welfare Across Borders in 香港に参加してきました。


 報告が遅くなりましたが,10月25日・26日と香港城市大学で開催されたUFAWの国際会議に参加してまいりました。本会は,Animal Welfareに関する研究や教育活動を実施しており,シンポジウムや研究会がイギリスを中心に毎年開催されています。本会からはAnimal Welfareに関する教科書もたくさん出版されていることから,知っている方もいるかもしれません。

 初のアジア開催で,しかも「国境を越える」というテーマでの開催ということで,UFAWがAWのアジアでの展開をどのように考えているのか気になり,発表を聞いてきました。

 会場の香港城市大学は,九龍半島の北部に位置し,2017年に香港初の獣医学部が整備されたばかりです。獣医系の大学が共催とあって,発表は伴侶動物に関する話題が多かったですが,家畜に関する様々な話題も取り上げられておりました。

 興味深かったのは,日本ではあまり問題とならない家畜の長時間生体輸送の福祉問題。福祉問題が生じるなら,わざわざ生体輸送する必要ないのではと思ったのですが,会場で会ったバングラデシュの研究者の話では,(衛生的にも,宗教的にも)適切な屠場が整備されていないなどの問題もあるので生体輸送せざる得ないという理由があるとのことでした。因みに,この方,数年前までお隣り,宇都宮大のY澤先生の部屋に留学されていたそうで,栄養学的な研究をされていたそうですが,今は母国で動物管理学・行動学を教えているそうです。

 また,安楽死処置に伴うAnimal Welfare概念と大陸古来の道教思想との関係に悩む獣医師やオーナーの事例報告も,愛護思想とAW思想との関係で単純に割り切れない日本的な考え方にも通じる課題として,非常に興味深かったです。

 2日目に入って,Animal Welfareに関わる科学研究の話題がありましたが,その他のコモンウェルス系の講演者による話は,どこかで聞いたAnimal Welfare講義のような感じで,若干物足りなさがありました。会場にスタッフとして参加していた獣医学部の学生に解説していたのかもしれませんが。

 せっかく香港での開催ということで,短い時間ではありましたがナイトマーケットや香港島からの夜景を見に行ったり,九龍公園内にあるエイビアリーも見学してきました。また,会場の香港城市大学で故宮博物館の展示も開催されていたことから,空き時間に見てきましたが,VR展示はどこでもやってるんですねぇ。面白かったです。

 以上,それなりに情報収集もでき有意義な学会参加でした。ただ会場で台湾や韓国の参加者も散見されましたが,各国でのAW研究はまだ日本ほど活発ではなく,アジアでの発信は急務であると感じた学会でした。


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